青の追憶 1

訳あって、先月会社を辞めた。

といってもたいした理由じゃない。あまりにも多忙でこのままじゃ過労死する! と本気で思ったから辞表を提出。私のモットーは健康第一なのに、仕事で心身ともに疲れ果てるなんてもってのほかだ。仕事自体は嫌いではないので、ちょっと休養したら再就職しようと思っていた。だって、仕事しないと生活できないし。

そんな訳(?)で今いるのはハワイです。

一人で海外旅行なんて絶対無理だと思っていたけれど、思いきって来てよかった。大正解! 何がいいって、日本語が普通に通じることでしょー。海外旅行で困るのってなんといっても言葉です(私の場合)。でも、ハワイは日本人観光客がたくさんいるし、お店にも日本人店員さんがいるしホテルにも日本人スタッフがいる。問題なし。

まぁ、一人で海外旅行っていうのがちょーっとだけ寂しいけれど仕方ない。友達はみんな仕事しているし、いきなり「今月ハワイ行かない?」なんて誘われても無理に決まっている。遠くに住んでいる母を誘ってみたけれど、やはり無理だった。「たまにはのんびり過ごしてきなさい」とあっさり送り出された。

行きと帰りの飛行機チケットとホテルを予約するだけだったので、すぐに手配も終わった。オプションは少し迷ったけど、何もつけなかった。何か参加したいのがあったら現地で申し込めばいいし。

一昨日は市内観光。昨日はエステ体験。空いた時間に買い物したり散歩したり。意外と一人でも十分楽しめるのよね。

今日はホテル内の敷地でのんびり読書して、遅めのお昼を食べた。今は部屋でガイドブックを読んでいる。この後どこに行くか決めるためだ。

今日はちょっと運動してみようかな。どうやらすぐ近くにちょっとしたハイキングコースがあるらしい。ガイドブックによると、そのハイキングコースの頂上から見える夕日が美しいとあった。よし、これに決定だ! 私はバックに荷物を詰めると、動きやすい格好に着替えてホテルから出た。

しばらく歩くとハイキングコースの入り口に到着した。山頂まで歩いて30分か。まぶしい太陽は少しずつ傾いていた。きっと山頂につく頃はキレイな夕日が見られるんだろうなぁ。

緩やかな山道をゆっくり登っていく。時々人とすれ違うけれど思ったより人がいない。みんな海に行っているのかな? 

それにしても森林浴ってのもたまにはいいものなんだな、と思う。空気が澄んでいてとても気持ちがいい。山道の両脇には立派な草木が茂っていた。太陽の光を遮ってくれるため、思ったよりも涼しいことに驚いた。薄手のパーカーを着ていて良かったわ。

歩き初めてもうすぐ30分。そろそろ山頂が見えてくるかな? もともと歩いている人が少なかったためか、ほとんど人の気配がなかった。もしかしたら山頂で夕日を独り占めかも、なんて思ったその時だった。

ズ、ズズッ……。

地鳴りとともに、足元の地面が揺れ始めた。地震だ。でも、日本で地震に慣れている私は多少の揺れでは驚かない。そのうち収まるだろうと思っていたけど……なんか揺れが大きくなってきてない? 

「うわぁ!!」

坂道に立っていたためよろけた。慌てて近くの大きな木にしがみつく。その間にも揺れはどんどん大きくなり私はとても怖くなった。ひぃっ、どうしてハワイにまできてこんな目に遭わなきゃいけないんだー! 頼むからこの木は倒れないで! と願いながらギュッと目をつぶった。

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