青の追憶 54

「ったくセーファスは本当に神官なのか? 最後まで全然そういう風に感じなかったな」

呆れた表情でルースが言った。

「いろんな意味で面白い人だったよね。でもさ、ルースはセーファスさんみたいな人、本当はそんなに嫌じゃないんでしょ? もし、同じ学校に通っていたらフェイさんよりもセーファスさんと友達になっていると思うな」

「ああいうタイプはアイツだけで十分だ」

「アイツ?」

「セーファスみたいな友達がいるっていっただろ」

あぁ、確かにそんな事を言っていたような気がする。

「ルースと同じ学校だったの?」

「あぁ。小さい頃からずっと一緒の学校だったな。卒業後の仕事は別々だけど」

「ふーん、そうなんだ。ちょっと会ってみたかったな。その人」

「止めておいたほうがいい」

「何で? ルースの友達でしょ?」

ルースの表情が微妙になる。

「……セーファスみたいな感じだからな」

「あ、女好きなんだ」

なるほど。でも、別にそんなの気にしないけどな。

「この旅に出る前とか、そのちょっと前にもさんざんからかわれたんだよ」

その時の事を思い出したのか、俺で遊びやがって……と小さく呟いている。

「何を言われたの?」

「え…………」

不自然なくらいにルースが固まった。

「ルースがからかわれるなんて、あんまりないじゃない。ちょっと面白そうだなーその話」

「……」

「ルースが友達とどういう話をしてるのか、聞いてみたいし」

「いや、ろくな事じゃないから聞かなくていい」

「そう? セーファスさんみたいな人なら、結構楽しそうな話してそうじゃない。学校の時の話とか?」

「いや、全然違う。キーファは……」

「きーふぁ?」

「あ? あぁ、俺の友達の名前」

「キーファさんって言うんだ。で? キーファさんが?」

「……女好きなんだよ」

「うん、さっき聞いた」

ルースは気まずそうにしている。なんかこういう表情を見ているとちょっとからかいたくなってくる。

「その、だから、俺の前でもそういう話が多くてな……。もっと真面目な話しろよ、っていつも思うんだが」

と言いながら、ため息をついている。

「ふーん。でもさ、それってルースも興味あるからなんだよね?」

「どういう意味だよ」

「キーファさんが毎回女の子の話をするのって、なんだかんだ言いつつルースもそういう話につきあってるからじゃないの?」

「そんな事ねぇよ。だいたいいつもキーファから、あの店の店員がキレイだったとか、道ですげぇ良い女を見かけた、というかそういう話を言ってくるんだよ。で、俺があまり興味なさそうに聞いていると、気取りやがって、とかカッコつけてんじゃねぇ、とかブツブツブツブツ……」

昔の事を思い出しているのか、明後日方向を見ながら呟いている。今の話を聞いていると、確かに女好きな感じがするけど、結構面白そうな人だと思う。

「だいたいキーファは女の趣味が良く分からない。すっげー美人が好きだ、とかいいながらセイディに惚れていた時期もあったしな。でも、セイディが亡くなった義兄さん一筋って分かっているから、よけいな事はしてこないところは筋が通っていて好感持てるんだけど、やっぱりなんか軽いんだよなぁ、アイツ……」

「あの、ルース? ルースとキーファさんが凄く仲良しなのは分かったからさ、まぁ、機会があったら紹介してよ。セイディさんに惚れる男の人なら信用できるし、安心して会えるよ」

「はぁ? なんで信用できるんだよ」

「だってセイディさんの事が好きだったんでしょ? すごく人を見る目あると思うよ。それにさ、ルースだって信用ない人とずっと友達でいたりしないでしょ?」

「それはそうだけど、キーファは本当に女好きで、サラを会わせたら何を言われるか……」

「何をそんなに怯えてんの?」

ルースらしくない弱気な発言についからかってしまう。

「怯えてなんかねぇよ!!」

ちょっとムキになって反論してくる辺り怪しい。

「だったらいいじゃない」

「そうじゃなくて……、いや、もういい」

何かを諦めたように空を見上げながら言う。

「キーファさんに会えるの、楽しみにしてるよ」

ルースと同じように空を見上げなら私はそう言った。

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